シーソー

この道の側溝の蓋は歯周病患者の歯のようだ。
踏むとぐらついてガタガタと音がするし、
ドブのニオイも強烈だ。
この道を行かねば君の家につかないから我慢して歩いた。
溝蓋の音で気づいてもらえる様に毎日鳴らして歩いた。

 

ガタッゴト、ガタ、ガタ

 

僕に気づいて窓辺に寄る君に、
こんばんわ、今夜は月がきれいですね。

ガタッゴト、ガタ、ガタ

 

 

 

 

私のアパートの沿いの道には1枚建付けが悪い溝蓋がある、
踏むと大きな音が鳴るので普段踏まないようにしているのだが、
ここ数日毎日のように鳴らしに来る人がいる。
迷惑な人がいたものだと、どんな顔をしたやつかと一目見ようと窓に向かって後悔する。
それは私が視線を送るより先に、私がこの位置に現れるより先に、
それを期待して体を揺らしてこちらを見続けていたのだ、

ガタッゴト、ガタ、ガタ


騒音に対するクレームにより側溝の補修が行われた、


もうあの音はしない、


もうどこから見ているのか、
私にはわからない。

ブログ小説 ino

ここは、北口の牛丼屋の前だ。
腹も膨れた事だし家に帰るか、
ちょうど隣に家がある。

ここでは幼馴染のあの子とじいちゃんと住んでいる。
二人に出かけようといわれたので学校へ、、、

 

 

いや、、、

 

 

 

これは夢だ、
この子は今ではどこにいるかもわからない初恋の人。
じいちゃんは一昨年に死んでいる。
引っ越してからはもうこの駅に用は無いし、
そもそも家は駅からバスで5分はかかった。
目の前にある学校も取り壊されたはずの旧校舎、

そうこれは夢なんだ。

 

「おはよう、ルーシー」
そうカイが呟くと、彼の夢の中に新しい世界が広がった。
「初回ログイン成功、おめでとうございますカイ様、ここはD-net、あなたの夢と世界をつなぐ場所です。」

 D-netとは、ある日本企業が作り出したフルダイブ型のオンラインプラットフォーム。
明晰夢の研究をしていたソウジ テラダが、夢のデータ化及びその共有に成功、後にカオスな夢を安定させ、D-netでの記憶を定着させることに成功した。
このD-netの開発により、人は寝ている間に
学習・仕事・遊び・恋、
およそ現実世界でできる事は何でもできるようになった。
『人間の寿命が一夜にして200年伸びた。』
なんて言う著名人もいた。

ログインの方法は就寝の際に首輪型の端末をを装着し夢の中でパスワードを提示すること、

「ここがD-net、、、」
「カイ!来てくれたんだな!」
「テツヤ、、、」

テツヤは幼馴染で高校も一緒で仲がいい、今日は明日の期末テストに向けて勉強するためにここに来た。

「ここがお前の〇神と時の部屋か」
「いやたとえが的確で古過ぎるwww俺以外わかんないってww」
夢の中での時間感覚は現実のそれとはまったく違う、
うちの高校は入学難易度は高く、
テツヤが三週間でE判定を覆して受験に成功したのは、
どうしても俺達と一緒の学校に通いたいと親に無理言って当時まだ高価だったログイン端末を買ってもらい勉強していたかららしい。
入学当初本人はズルをして受かったようだと少し気に病んでいたが、D-net内での学習自体は本人の努力に他ならない。
「じゃあ学習部屋立てるけど教師のタイプはどんなのが良い?」
「折角だからエロい女教師とか出せないん?」
「性別指定できるけど容姿はランダムでしかできないんだよね」
「なんで?」
「ポリコレ」